17のタイプを巡る攻撃 後編 [グッピー近代史]

続きです。
http://hanayan-guppy3.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
少しタイムラグがあってこの発言に巨匠が猛攻撃・・・
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 「これはたいへんなことなのである。そこでお伺いしたい。<その頃>とは正確に言っていつのことであり、<17種の基本型、改良型>とはどういうタイプを言っているのか、どのような方法で17種の基本型、改良型をふくめての固定化に成功したか、それらはどういう交雑経路であったかを、ぜひ詳細に発表していただきたい」
(フィッシュマガジン 73年4月号)

 「<その頃17のタイプの固定化に成功した>人には数千頁に及ぶ貴重な交雑例が秘められているであろう。重ねてお願いするが、その一端でもいいからぜひうかがいたいものである。」                         (73年5月号)

「そのような材料となる魚がいなかった時代であったのに、そのころにグッピーの17のタイプの固定化が完了されていたなどという人がいることである。そういう言葉がなんのためらいもなく出されたのは、そのような発言の周辺が、場末の縁日の薬売り的なものでしかないからである。」                    (73年11月号)

「くどいようだがはっきりしておかなければならぬので書いておくが、17のタイプの固定化に成功したなどという言葉は口から出まかせのでたらめにすぎないのである。」
                              (74年2月号)

「・・・どのような期間で17のタイプの固定化に成功したのかは知る由もないが、いかなる手品師にも不可能なことをいとも容易になしとげた人には、このようなふしぎを解明するのも簡単なことであろう。朝飯前の仕事として、しかも過去ではなく今日の課題の一つとして種明かしを披露してはどうか。」          (74年3月号)

「自分はある時期に17のタイプの固定化に成功したなどという言葉が臆面もなく公表され、それが問題にもされずにいる。(中略)かがやかしい歴史を獲得するには無智とふしだらによってヘドロ化された環境をまずは浄化する必要があろう。」 (74年4月号)

 「いかなるタイプのグッピーも突然に出現するということは絶対にない。あの時期に17のタイプが固定するまでにはそれに要した時間と経路というものがある。」(74年6月号)

「あの<17の人>がこの魚を熱愛し、その系統的飼育に夜もろくに眠っていないなどということを風の便りにも聞いたことがない。」           (74年7月号)

「それにしてもなんのためにあのようなことが言われたのか。そしてなぜ私はこれほどまでにこの問題を追及するのか。あまりのふしだら、でたらめを黙過することができないまでのことである。」                       (74年8月号)

 「この歴史の浅さにつけ込んで、何の思慮分別もなく、私はある時期に17のタイプの固定化に成功したなどという大道商人的放言も聞かされる。(中略)この汚点は、同時にこの小さな世界における恥のひとこまであり、ひたむきに1つの道を歩く者らにとっては言いようのないはずかしめでもある。このはずかしめを忘れることはできないだろう。」
(74年 11月号)

 「私は機会あることにその発表を迫り、場合によっては公開討論のような場所も要求するであろう。その内容について討論の必要があるかないかはそれが発表されてからのことである。(中略)<すでに固定化に成功していた>という過去についてのデータ―の公開を迫るとこと(ママ)は、ふつうに行われていることであり、常識であり、義務である、少しも異常ではない。(略) それについて公開の必要はないという姿勢を固持するのは、私だけでなく、多くの読者諸賢を無視することとなり、世をたぶらかすことであり、しいては自分自身のすべても否定することとなろう。それはこの世界の公器によって発言された言葉であり、その内容は公人的なものであるからだ。この種の事実についての詭弁や私的談合は許されない。」                    (74年 12月号)

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この執拗な攻撃に対する答えはありませんでした。大人の対応といえなくもないでしょうか。それでも以降斯界の最高権威であった<17>の巨匠の方は発言が激減しました。また唯一の魚の情報誌であったFM誌上からこの後グッピーに関する情報がほとんどなくなりました。各地にあったグッピー愛好会は急激に活動を停止してしまいました。更にとどめは孤高の将となった当の本人も80年にひっそりと引退してしまったのです。1975年以降十年ほど暗黒の時代が続くことになります。


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ΦωΦ

これは書籍化されてない連載の記事でしょうか?怖い怖い
私がひさびさに良いライヤープラティ買った店も
とある個人にこんな風に中傷されててひどいなと
by ΦωΦ (2015-08-26 20:02) 

がっぴ

お久しぶりです。若いうちはいろいろと、思うところもありましたが、やっと落ち着いてグッピーを楽しめる年齢になりました。(自信はないけど)
過去の巨匠達は雑誌や書物で戦っていたなんて恐ろしい時代だったのですね。今ならネットで訂正や誤解を解くことがやりやすくなったので、話ももう少し穏便になるのかなと思ったりもします。
by がっぴ (2015-08-26 23:28) 

キャップ

この手の話、私が属しているディスカス界では
今でも日常茶飯事ですよww
私自身は同時期活躍された実戦空手の大家が
自伝等で「アフリカでゴリラと戦い金的で勝ったよキミ〜」
と同じレベルのファンタジィとして楽しんだ方がよろしいかと
by キャップ (2015-08-27 09:08) 

スー

こんな話が今から40年程まえにあったんですね。
そして暗黒の時代があったなんて…

批判や中傷は、産むものよりも失うものが多かったということですね。
そして何か新しいものを出す時は、きちんと分かるように説明して紹介しないと、例えそれが真実だとしても、理解されにくいのだと思います。

興味深い歴史の記事をありがとうございました。
by スー (2015-08-27 10:18) 

花やん

 ΦωΦさん、そうです。<グッピーにおける遺伝の実際>という連載で写真付きで単行本化が前提だったようですが、あまりに脱線が多く?(どこかの誰かと似てるような??)また以降のグッピー人気零落のためお蔵入りしたものです。

 がっぴさん、お久しぶりです。昔は作家さんとかは結構文壇でやりあっていたようで詩人の著者はそういう名残を引きずっていたのでしょうか。ネット上では気安く誰でもアップできるので更にアブナイ気がします。

by 花やん (2015-08-27 14:45) 

花やん

 キャップさん、お久しぶりです。ディスカスもそうですか!そちらの内幕はほとんど知りませんが知りたいような知りたくないような(笑)
 私たち最終の方の弟子達はそのため全然師匠の言うことを聞きませんでした^^いないのをいいことにギャグにしていました!?

 スーさん、ナイスフォローありがとうございます。
>批判や中傷は、産むものよりも失うものが多かったということですね

 まさに今回の主題はそれです。そもそもの母集団が小さいですからね~。


by 花やん (2015-08-27 14:58) 

アンディ

花やんさん。グッピーにおける遺伝の実際 はそういう理由で一冊の本として発行されなかったんですね。私の持っている、68年のFLでは編集後記に執筆者の発言に対してお詫びの文章が掲載されていたり、編集部の大変さがわかります。もちろん、この74年より6年も前の話しですが。当時は、出版社に対しても、かなりお強い発言権を持たれていたのがわかります。
by アンディ (2015-08-27 17:55) 

ばりばり

私たちの世代だと本格的にグッピーをやりはじめたのは
ほとんどの人が筒井さんがお亡くなりになられた後ですし、
それ以前の巨匠の方々がお書きになられたものは
なかなかお目にかかる機会がなく
非常に興味深い話で勉強になります…

当時のリアルタイムに起こっていたことを知れるのは
非常に勉強になりますし、機会があればこれ以降のことについても
書いていただけますとありがたいです!


by ばりばり (2015-08-27 18:25) 

make

当時周りの方々は、「17のタイプを巡る攻撃」を、どう見て、何を感じていらしたのでしょう。

中傷はいけませんね!!
批判も過ぎると ブッ!!ブブー!! です。

攻撃されるのもするのも嫌ですが、ただ、「攻撃と共存」であれば、ありかなぁーと考えたりもします。
「17のタイプを巡る攻撃」も、初めは共存を望んでのことだったのかもしれない・・・。と、思ったりもします。

攻撃は互いの関係を認知し、双方の主張に沿って行動を変えるための共存の手段として、私たちは身につけた行動なのですから・・・
by make (2015-08-27 19:26) 

花やん

 アンディさん、本になる予定だったというのはご本人の証言ですので周りはどうだったかわかりません。70年以前のFLはほとんど持っていないのでその記事は確認していません。その時代の資料は極めて貴重なのですが。


by 花やん (2015-08-28 06:28) 

花やん

 ばりばりさん、そうですか。ツツイを知らない子どもたち(失礼)なのですか。戦争を知らない世代が主流になってくるとだんだん世界が怪しい雲行きになってくるわけで。きちんとした歴史認識は重要なのです。(どこかで聞いたような)

 makeさん、当時は子どもでしたので業界筋の人のことはわからないのですが雑誌を見る限り、<しーん・・・・>という感じです。下手なことを言ったらまずいので黙っとこ、または無視、みたいな雰囲気ではではなかったかと多感な中学生は感じておりました。
by 花やん (2015-08-28 07:43) 

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